放送局のスポーツ中継サブ
「オフチューブサブ」のIP化を支えた現場力
直前の仕様変更と前倒しの納期という壁を乗り越えた、テレビ局のネットワーク更新プロジェクト。
スポーツ中継の要となる「オフチューブサブ」にて、音声伝送システムのIP化に伴う機器設置・配線工事を担当いたしました。
1. クライアント様のビジネス
今回ご紹介するのは、スポーツに特化したBS/CSテレビ放送および動画配信事業(OTTサービス)を展開されているスポーツ専門放送局様です。
現地スタジアムの映像を受信し、スタジオで実況や解説を乗せてひとつのスポーツ中継番組を完成させる「オフチューブサブ(副調整室)」という、放送の重要な設備の更新プロジェクトです。
2. お客様の課題
最大の目的は、2部屋のオフチューブサブにおける音声伝送システムを、従来の「SDI方式」から「IP方式」へ更新することでした。
しかし、現場は以下のような非常に難易度の高い状況に直面していました。
- 仕様の未確定と前倒しの納期
引き渡し日は決まっていたものの、直前まで詳細な仕様が定まっていませんでした。さらに工事開始後、納品日が前倒しとなり、極めてタイトなスケジュールで完了させる必要が生じました。 - 膨大な仕分け作業の発生
従来システムで使われていたケーブル類について、流用するものと撤去するものの仕分けに多大な時間コストがかかることが判明しました。
3. 対応内容と工夫
本件は、放送・映像機器メーカー様およびシステム設計/検査会社様からの下請け(施工担当)として参画いたしました。
限られた工期と直前の仕様変更という厳しい条件に対し、現場の機転とチーム力で以下の工夫を行い完遂を目指しました。
- 現場の機転による時間短縮
廃棄予定だったケーブルを上手く流用させることで、膨大なケーブルの仕分け作業時間を大幅に短縮させました。 - 効率の横展開
2部屋が同様のシステムであったため、1部屋目の施工時に改善点を記録し、2部屋目の作業効率を向上させました。 - 施工観点からの意見具申
納期が迫る中、仕様が固まりきっていなかったため、確実な納品に向けて施工の観点から期限についての提言をしっかりと行いました。 - 柔軟なマンパワー対応
想定よりも増員し、時間外や土日の作業時間も最大限に活用して納期短縮を図りました。また、作業過程で発生した「追加の機材接続」などの新たなご要望にも柔軟に対応いたしました。
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既存ケーブル 撤去中
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光ケーブル通線 作業中
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光ケーブル通線 完了
4. 仕上がり内容と成果
非常にタイトなスケジュールの中、無事に2部屋のIP化工事を完了させました。今回のIP化により、将来的な大容量・高画質(4K/8K)伝送にも余裕を持って対応できるインフラが整いました。
お客様からは現場での残業や土日作業を含めた弊社の対応に対し、感謝の言葉をいただきました。
シンコネクトでは、こうした最先端のIPネットワーク設備における複雑な機器の設定・設置や大規模な配線工事にも、確かな技術力で対応しています。
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オフチューブサブ
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操作卓 背面
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アナブース
今回のプロジェクト概要
- 場所
- 東京都江東区
- 工期
- 2026年1月 〜 2026年2月
- 内容
- オフチューブサブ2部屋の機器設置およびSDIからIPへの更新工事
- プロジェクト
総額
(参考市場価格) - 約800 〜 1,000万円規模
ワンポイントコラム
従来主流だった
「SDI方式」とは
SDI(Serial Digital Interface)は、長年放送業界を支えてきた信頼性の高い映像・音声の伝送規格です。
特徴
映像なら映像用のケーブル、音声なら音声用のケーブルと、役割ごとに無数のケーブルを束にして繋ぐ必要があります。
課題
扱うカメラやマイクの数が増えたり、4Kなどの高画質映像を送ろうとすると、その分だけケーブルの束がどんどん太く、本数も膨大になってしまい、配線スペースや取り回しの限界が来てしまいます。
これからのスタンダード
「IP方式(IP化)」とは
IP化(AV over IP)は、会社や家庭のインターネットと同じ「ネットワーク通信」の仕組みを使って、映像や音声を送る技術です。
特徴
無数のケーブルではなく、一般的なLANケーブルや光ファイバーを使用します。
メリット
1本のケーブル(ネットワーク)の中に、複数の高画質カメラ映像や数十チャンネルの音声を「データ」として相乗りさせて一気に送ることができます。






